お知らせ

2019/12/03

明日、12月4日は「有床診療所の日」。

(以下、全国有床診療所連絡協議会HPより抜粋)

 「有床診療所の日」として制定した12月4日の由来は、享保7年(1722年)12月4日、江戸の小石川に小石川養生所が設けられ、日本で最初に病床を併設する診療所が設立された日といえるからです。なお、日本医史学会の酒井シヅ理事長より、この日が日本の医療にとっても記念すべき日であり日付において確かな証拠も残されているとのことで、この小石川養生所の設立に関しては、「徳川實紀」に以下のように詳細に書かれています。

新訂增補 國史大系「徳川實紀」第八篇(吉川弘文館刊行)によると、
 十二月四日 御みづから得給ひし鶴を尾邸につかはさる。書院番頭杉浦内藏助正奉御使す。また小石川傳通院前の市井臋小川笙船といふもの。貧しくして薬用のよすがなき病者の為め。施薬院を設けられなば。御仁政の一端なるべしと建白せしを。嘉納せられて。人々に議せしめられ。こたび小石川薬園のかたはら。新に養病所をたてらる。よて趣意を市井にふれられしは。養生所にまかるべき者等は。町々いと貧しき病者。或は看侍の者もなきやから。その所に参り。治療うくるかぎりは。飲食。衣服。臥具に至るまで。公よりたまはるべし。歩行にたへしものは。まかり乞うべし。・・・

 このように画期的な福祉施設である小石川養生所は、小石川伝通院の医師・小川笙船の目安箱への投書から実現しました。八代将軍・徳川吉宗は享保の改革を進める中で、庶民の声を吸い上げる必要があると考え、目安箱を設置しました。小川笙船が訴えたのは、貧しい者が病気を治すための療養所を作って欲しいというもので、訴状を読んだ吉宗は腹心である町奉行・大岡忠相に命じて小川笙船と面談・調査を実施。そして12月4日に小石川の中に養生所が設立され、無料で庶民の病気治療にあたったというものです。この診療所の様子は山本周五郎の小説『赤ひげ診療譚』でも知られており、この小説は 1965年 、黒澤明監督により「赤ひげ」と題して映画化もされています。また、現在、小石川養生所のあった場所(小石川植物園)には、当時養生所で使われていた井戸が保存されており、その隣には、旧東京医学校の建物が残っています。